造仏所作物帳(ぞうぶっしょさくもつちょう)zōbussho sakumotsu chō
興福寺西金堂の造営に関する記録で、堂舎建築や内部の荘厳(しょうごん)に使用された材料等が詳細に記される。西金堂は、光明皇后が亡母県犬養橘三千代(あがたのいぬかいのたちばなのみちよ)の冥福を祈って建立(こんりゅう)したもので、天平六年(七三四)正月に落慶した。本文書は造営完了後の五月一日に作成され、もとは三巻から成る長大な文書であったが、現存するのはその一部分。著名な阿修羅像などの仏像に関する部分は残らないものの、灌頂幡(かんじょうばん)、厨子(ずし)、高座、おびただしい数の仏具等に関する記載からは、華麗に装飾された堂内の様子を想像することができる。
第67回 正倉院展、2015年