密教(みっきょう)mikkyō
秘密仏教の意。七世紀ごろ、インドで劣勢となっていた仏教がヒンドゥー教の教義や神々を取り入れることで成立した。初期・中期・後期に分けることができ、最初わが国では奈良時代に初期密教の影響を受けた古密教(雑密(ぞうみつ))が行われ、平安時代初期に空海が中期密教を伝えた(それ以降の密教を純密と言うこともある)。古密教には大日如来(だいにちにょらい)はなく、他の如来や変化観音(へんげかんのん)などが祀られ、悔過(けか)法要が行われた。純密では大日如来が最高尊とされ、胎蔵界(たいぞうかい)・金剛界(こんごうかい)の両界曼荼羅(りょうかいまんだら)が用いられるなど、体系化された教義が見られる。
第74回 正倉院展、2022年