奈良三彩(ならさんさい)narasansai
中国の唐三彩を手本にして日本で作られた多彩釉陶器。灰白色の素地(きじ)に緑・白・褐(黄)色の釉薬(ゆうやく)を点じたものを三彩陶器、緑と白だけを二彩陶器と呼ぶが、色の数を問わず「奈良三彩」と総称することが多い。奈良時代から平安時代初期まで、官営工房で限定的に生産されたとされる。宝庫には約六〇点(多くは二彩陶器)が伝わるほか、宮殿や寺院址、各地の官衙(かんが)や祭祀遺跡、墳墓などにも出土例があり、法会(ほうえ)や祭祀、儀礼など特別な機会に使われた器と考えられている。
第68回 正倉院展、2016年