鍮石(ちゅうじゃく)chūjaku
かつて中国、朝鮮半島、およびわが国で用いられていた、銅に亜鉛を含んだ金属材料を指す名称。真鍮(しんちゅう)(黄銅(おうどう))にあたる。真鍮は銅に対して二~三割の亜鉛が含まれる合金で、黄色で展性、延性に富むため、細線・板・箔を作るのに適している。また、浸食されにくい性質のため、工業製品の材料にもなっている。日本では慶長年間(一五九六~一六一五)頃から多く用いられるようになった。奈良時代には鉱石から亜鉛を精製することができなかったが、もともとの銅鉱石に亜鉛が含まれていたと考えられる。
第67回 正倉院展、2015年